カテゴリー: フィリピンの日常

  • フィリピン人はなぜこんなに歌うのか?突然歌い出す店員さんと、歌が日常にある暮らし|るるた第四話

    フィリピン人はなぜこんなに歌うのか?突然歌い出す店員さんと、歌が日常にある暮らし|るるた第四話

    こんにちは、るるたです。

    フィリピンのマニラから、日々の暮らしのあれこれをお届けしています。

    前回はフィリピンの騒音についてお話ししましたが、今回はその中でも「歌うこと」について、ちょっと考えてみたいと思います。

    フィリピン人って、本当に歌が上手い

    フィリピン人って、本当に歌が上手いですよね。

    世界各地のホテルやバー、クラブなどで、フィリピン人のミュージシャンが活躍しています。

    有名な曲を演奏するカバーバンドでも、驚くほど上手な人たちがいます。

    でも、別にプロだけじゃないんです。

    フィリピンで会社を経営したり、働いたりしている日本人の方なら、職場に一人くらい、

    「このスタッフ、なんでこんなに歌が上手いの?」

    という人がいるんじゃないでしょうか。

    それから、ショッピングモールの家電売り場。

    カラオケ機器のデモなのか、ただ歌いたいだけなのか分かりませんが、店員さんが普通に熱唱していることがあります。

    「いや、君、仕事中だよね?」

    と思うんですけど、これがまた上手い(笑)。

    日本人の男性なら、JTVなどで歌の上手い女の子に出会って、ちょっとドキドキした経験がある人もいるかもしれません。

    まあ、それは置いといて。

    どうしてフィリピンには、こんなに歌の上手い人が多いんでしょうね。

    日本ではイベント、フィリピンでは日常

    理由はいろいろあると思いますが、やっぱり子どもの頃から歌う機会が多いことが関係しているんじゃないでしょうか。

    教会で歌ったり、家族や親戚が集まったときに歌ったり。

    地域のイベントでも、歌やダンスを披露する機会があります。

    日本人もカラオケは好きですよね。

    でも日本の場合、

    「よし、今日はカラオケに行こう!」

    という、ちょっとしたイベントの感覚がありませんか。

    日常か非日常かでいえば、少し非日常寄り。

    一方、フィリピンでは、歌が完全に日常のすぐ隣にあるように感じます。

    3人くらい集まったら、

    「じゃあ、ちょっとカラオケでもする?」

    という感じ。

    今なら、特別なカラオケ機器がなくても、YouTubeで伴奏を流して歌えますからね。

    歌は、お金をかけずにみんなで楽しめる

    考えてみると、歌うことがフィリピンの暮らしに根付いているのは、とても理にかなっている気がします。

    まず、お金があまりかからない。

    大きな場所も必要ない。

    特別な道具も、必ずしも必要ありません。

    スポーツのようにルールを覚えなくても参加できますし、歌が上手な人も、そうでない人も、とりあえず楽しめる。

    お金持ちでも、そうでなくても関係ありません。

    僕の周りでも、給料日前になると生活費が厳しくなっている社員がいます。

    そんな中で、いつでも、どこでも、あまりお金をかけずに楽しめる歌というのは、生活にとても合っているのかもしれません。

    何より、みんなで同じ時間を楽しめますからね。

    歌うことは、ストレス発散なのかもしれない

    もうひとつ、僕が感じていることがあります。

    それは、歌うことがストレス発散にもなっているんじゃないかということです。

    フィリピンの暮らしは、外から見ると明るく楽しそうに見えるかもしれません。

    でも、実際には大変なことも多いんです。

    給料に対して物価が高かったり、雨が降れば道路が冠水したり、突然停電したり。

    病院に行けば、医療費が大きな負担になることもあります。

    なんだかんだ、ストレスの多い生活でもあるんですよね。

    そんなときに、歌う。

    これについては、僕自身、ちょっと不思議な経験を何度かしています。

    工具を探していたら、後ろで店員さんが歌い始めた

    以前、会社で使う工具か何かを探しに、お店に行ったときのことです。

    フィリピンのお店って、店員さんが結構たくさんいますよね。

    僕が商品を探していると、一人の店員さんがなんとなく後ろについてきました。

    何かタガログ語で話しかけてくれるんですが、僕はタガログ語があまり得意ではありません。

    そこで英語で質問してみると、今度は相手が、

    「うーん……」

    という感じ。

    お互い、なんとなくコミュニケーションが成立しないんです。

    でも、店員さんはずっと僕の後ろにいる。

    なんとも微妙な空気です。

    そして、僕が棚の商品を探していると……。

    突然、後ろで歌い始めるんですよ。

    えっ、なんで今、歌うの?

    最初は本当に不思議でした。

    でも、これ、似たようなことを2〜3回経験しているんです。

    最近は、もしかすると、

    「外国人のお客さんとうまく話せなくて、ちょっと気まずいな」

    と感じていたのかな、なんて思うようになりました。

    なんか気まずい。

    なんか落ち着かない。

    ……歌おう!

    みたいな(笑)。

    もちろん、本当にそういう心理だったのかは分かりません。

    単純に歌いたくなっただけかもしれませんしね。

    でも、歌うことで少し気分を変えたり、自分のペースを取り戻したりする。

    フィリピンの人たちにとって、歌にはそんな役割もあるのかな、と感じた出来事でした。

    最近、僕もちょっと歌うようになりました

    そして実は、最近、僕自身も少し変わってきました。

    疲れたときや、ストレスがたまったとき。

    なんとなく歌うんです。

    全然クリスマスシーズンじゃないのに、クリスマスソングを歌ってみたり。

    ミュージカルの曲のサビだけ、ずっと繰り返してみたり。

    そうすると、不思議とちょっと気持ちが落ち着くんですよ。

    「まあ、いいか」

    という感じになる。

    日本の職場で突然歌い始めたら、

    「あの人、大丈夫かな?」

    と思われるかもしれません。

    でも、フィリピンでは、周りの社員もそれほど気にしません。

    むしろ、

    「Sir!」

    なんて、嬉しそうに反応してくれることもあります。

    僕も長くフィリピンに住んで、少しずつフィリピンの暮らし方が身についてきたのかもしれませんね。

    イライラしたら、とりあえず歌ってみる?

    フィリピンの人たちが歌う理由は、もちろん人それぞれだと思います。

    音楽が好きだから。

    家族や友達と楽しみたいから。

    あるいは、ちょっと気分を変えたいから。

    でも、歌がこれほど自然に生活の中にあるというのは、なかなか素敵なことですよね。

    皆さんも、仕事でイライラしたり、ちょっと疲れたなと思ったら、一度歌ってみてはいかがでしょうか。

    意外と、

    「まあ、いいか」

    と思えるかもしれません。

    ということで、今回はフィリピン人と歌についてのお話でした。

    るるたでした。

    ではでは。

  • フィリピンで「静かにして」が通じない理由。騒音も文化の違い?|るるた第三話

    フィリピンで「静かにして」が通じない理由。騒音も文化の違い?|るるた第三話

    こんにちは、るるたです。

    フィリピンのマニラから、日々の暮らしのあれこれをお届けしています。

    今回は、フィリピンの「音」、特に騒音についてのお話です。

    フィリピンは、とにかく音がにぎやか

    フィリピンで暮らしていると、日本との違いを感じることがいろいろあります。

    渋滞、時間の感覚、街の匂い。

    そして、もうひとつ。

    音が大きい。

    フィリピンでは、本当にいろいろなところから音楽が聞こえてきます。

    特にクリスマスシーズンになると、大音量で音楽を流して踊っていたり、家族や近所の人たちが集まってカラオケを楽しんでいたり。

    日本だったら「ちょっと音が大きくない?」と思うくらいのところから、さらに2段階、3段階くらい大きいこともあります。

    もちろん、音楽を楽しむこと自体はいいんです。

    問題は、その時間。

    夜11時、12時。

    場合によっては、夜中の2時くらいまで歌声が聞こえてくることもあります。

    これは、日本人にはなかなかつらいですよね。

    「静かにしてください」と言ったら、意外な返事が

    だったら、

    「すみません、ちょっと静かにしてもらえませんか?」

    とお願いすればいいじゃないか。

    そう思いますよね。

    でも、これがなかなか難しいんです。

    以前、知り合いの日本人女性から、こんな話を聞きました。

    同じコンドミニアムの住人が大きな音で音楽を流していたので、静かにしてもらえないかお願いしに行ったそうです。

    すると、返ってきたのは意外な言葉でした。

    「なんで? あなたも一緒に音楽を楽しみましょうよ!」

    さらに、

    「あなたも好きな音楽を流していいのよ!」

    というようなことまで言われたそうです。

    これ、ちょっと面白いですよね。

    こちらは「大きな音は周りの人の迷惑になる」と考えている。

    でも、相手は「音楽が流れていたら、みんな楽しいじゃない!」と考えているのかもしれません。

    そもそもの感覚が違うんです。

    だから「うるさいから静かにしてください」とお願いしても、なかなか話が噛み合わないことがあるんですね。

    もちろん、フィリピン人がみんなそうだという話ではありません。

    ただ、僕が暮らしてきた中でも、音楽やにぎやかさに対する感覚の違いはよく感じます。

    50人のパーティーに、ひとりで文句を言える?

    地域のお祭りや学校のイベントなどで、50人、100人が集まって楽しんでいることもあります。

    そんなところにひとりで行って、

    「うるさいから静かにしろ!」

    と言っても、なかなか難しいですよね。

    下手にトラブルになるのも嫌ですし。

    なので、僕はフィリピンの騒音については、基本的にこう考えています。

    9割方は諦める。

    窓を閉める。

    耳栓を使う。

    そして、可能なら自分も楽しんでしまう。

    それが一番気楽なのかな、と思っています。

    もちろん、言うべきときは言う

    ただし、何でも我慢するというわけではありません。

    例えばホテルで隣の部屋がうるさい場合。

    直接その部屋に文句を言いに行くよりも、フロントに相談した方がいいと思います。

    コンドミニアムなら、セキュリティや管理事務所(アドミン)に相談する。

    間に誰か入ってもらう方が、余計なトラブルを避けられます。

    僕も以前、ホテルで隣の部屋があまりにうるさくて、部屋を変更してもらったことがあります。

    フィリピンのホテルには、隣同士の部屋をドアでつなげられる「コネクティングルーム」があります。

    このタイプの部屋だと、間にあるのは普通のドア一枚。

    隣の部屋というより、ほとんど同じ家にいるような感覚で、声が聞こえてくることもあるんです。

    あれは、なかなか大変でした。

    コンドミニアムのプールサイドで大宴会

    もうひとつ、昔住んでいたコンドミニアムでの出来事です。

    そのコンドミニアムを販売しているスタッフたちが、プールサイドで30〜40人くらいのパーティーをしていました。

    夜遅くなっても、ずっと大盛り上がり。

    一度、静かにしてもらうようお願いしたところ、

    「もう終わります」

    と言われました。

    ところが、いつまでたっても終わらない。

    さすがにこれは、僕も言いに行きました。

    「こちらは、このコンドミニアムを買って住んでいるんです。どうして販売している皆さんのパーティーを、夜遅くまで我慢しなきゃいけないんですか?」

    これは、さすがに理解してもらえたようで、その後は静かになりました。

    そして翌日。

    僕も日本人らしく、管理事務所に改善要求のレターまで提出しました(笑)。

    日本とは、音に対する感覚が違う

    フィリピンで暮らしていると、日本の常識がそのまま通用するとは限らないな、と感じることがあります。

    音についても、そうです。

    日本では、周囲に迷惑をかけないよう、できるだけ静かにすることが大切にされます。

    一方、フィリピンでは、音楽や歌を通じてみんなで楽しむことが、生活の中に深く根付いているように感じます。

    どちらが正しい、という話ではないんですよね。

    もちろん、夜中まで大音量で騒いでいいということではありません。

    でも、文化や生活習慣の違いを理解しておくと、少し気持ちが楽になります。

    言うべきところでは、きちんと言う。

    でも、すべてを日本と同じようにしようとは思わない。

    9割方は諦める。そして、できれば自分も一緒に楽しむ。

    フィリピンでは、そのくらいの気持ちで暮らすのが、ちょうどいいのかもしれません。

    ということで、今回はフィリピンの騒音についてのお話でした。

    るるたでした。

    ではでは。

  • フレンチトーストが、ただのトーストだった話。フィリピンで学んだ「解決したらOK」の考え方|るるた第二話

    フレンチトーストが、ただのトーストだった話。フィリピンで学んだ「解決したらOK」の考え方|るるた第二話

    こんにちは、るるたです。

    フィリピンのマニラから、日々の暮らしのあれこれをお届けしています。

    今回は、フィリピンに来て3〜4年くらいの頃に経験した、ちょっと面白いレストランでのお話です。

    フレンチトーストを頼んだら、普通のトーストが出てきた

    ある日、日本人の知人たちとお昼を食べに行きました。

    その中の女性が、フレンチトーストを注文したんです。

    しばらくして、若い女性の店員さんが料理を持ってきました。

    「フレンチトーストです!」

    ところが、どう見ても普通のトースト。

    フレンチトーストといえば、パンを卵やミルクに浸して焼いた、しっとりした料理ですよね。

    でも、出てきたのはカリッと焼いたパン。ちょっと甘いけれど、明らかに違います。

    そこで注文した女性が、

    「これ、フレンチトーストじゃないと思うんだけど。ちょっと確認してくれる?」

    とお願いしました。

    ところが店員さんは、

    「いえ、これはフレンチトーストです」

    と自信満々。

    もう一度確認してもらっても、答えは同じでした。

    「やっぱりフレンチトーストです。どうぞ!」

    うーん。フィリピンでは、これがフレンチトーストなのかな?

    なんて言いながら、仕方なく食べ始めました。

    「これはフレンチトーストじゃありません」

    しばらくして、マネージャーらしき男性が近くに来たので、聞いてみました。

    「これ、フレンチトーストを頼んだんだけど、違うんじゃない?」

    すると、その男性はあっさり、

    「あ、これはフレンチトーストじゃありません」

    おーい!

    やっぱり違うんじゃないか(笑)。

    「すぐに持ってきます」

    ということで、さらに10分ほど待つことになりました。

    そして今度は、ちゃんとしたフレンチトーストが登場。

    持ってきたのは、最初に「これはフレンチトーストです」と言い張っていた、あの女の子の店員さんです。

    普通なら、

    「すみません、間違えていました。お待たせしました」

    くらい言うのかな、と思いますよね。

    ところが彼女は、満面の笑顔で、

    「はい、マーム! This is French toast! Enjoy!」

    おーい!

    Enjoy!じゃないよ(笑)。

    あれだけフレンチトーストだと言い張っていたのに、どうしてそんなに嬉しそうなんだ、と。

    でも、後から考えると、これがなかなか面白いんです。

    結果として、ちゃんとしたフレンチトーストが届いた。

    しかも美味しかった。

    だから彼女としては、

    「ちゃんとフレンチトーストが来たよ! 良かったね!」

    という感覚だったのかもしれません。

    謝るというより、一緒に喜んでいるように見えたんですね。

    問題を起こした本人が、解決して大喜び?

    フィリピンで長く仕事をしていると、似たような経験をすることがあります。

    例えば、会社で書類の提出が遅れてしまったとします。

    そのせいで政府機関からの承認が間に合わず、ペナルティが発生するかもしれない。

    すると担当の社員が、

    「Sir、大丈夫です! 私が頑張って解決します!」

    と言って、一生懸命対応してくれる。

    そして、なんとか承認を取ってきて、ペナルティも回避できた。

    「Sir! 大丈夫でした!」

    と、満面の笑顔で報告してくれるんです。

    いやいや、ちょっと待って。

    そもそも書類を出すのが遅れたから、この問題が起きたんじゃないの?

    まずそこを改善しようよ、と。

    自分で問題を起こして、自分で解決して、

    「ほら、私すごいでしょ!」

    と言われても、日本人的にはちょっとマッチポンプに感じてしまいます。

    でも、そこで原因ばかり指摘すると、

    「こんなに頑張ったのに、Sirは全然分かってくれない」

    となってしまうこともあるんですよね。

    原因を追及する日本人、解決を喜ぶフィリピン人?

    もちろん、すべての日本人やフィリピン人がそうだという話ではありません。

    ただ、僕自身が長くフィリピンで暮らし、仕事をしてきた中では、こうした考え方の違いを感じる場面がありました。

    フィリピンでは、何か問題が起きても、必ずしも担当者だけが悪いとは限りません。

    突然の大渋滞。

    なかなか進まない行政手続き。

    何人ものサインが必要な書類。

    日本では想像しにくいような理由で、物事が予定通りに進まないこともあります。

    だから、個人の責任を追及するだけでは、どうにもならない場合もあるんです。

    もちろん、原因を調べて、次から同じことが起きないように改善することは大切です。

    でも、それと同時に、

    「今回は頑張って解決できたね。良かったね!」

    と、一緒に喜ぶことも大切なのかなと思うようになりました。

    日本の常識だけが正解ではない

    日本人は、問題が起きると、

    「なぜこうなったのか?」

    「誰に責任があるのか?」

    「再発防止策はどうするのか?」

    と、原因を徹底的に調べようとする傾向があるように思います。

    もちろん、それは日本の仕事の品質を支えてきた大切な考え方でもあります。

    でも、

    「日本だったらこんなことはありえない」

    「日本ではこうするのが当たり前だ」

    と言っても、ここはフィリピンです。

    僕ら日本人は、こちらに住ませてもらっている外国人でもあります。

    だから、日本のやり方だけを押し付けるのではなく、こちらの考え方を理解することも必要なんですよね。

    僕自身も、昔に比べると、何か問題が起きたときに個人を責めることはだいぶ減りました。

    まずは、なんとか問題を乗り越える。

    そして、

    「次はこうした方がいいね」

    と、少しずつ改善していく。

    最近は、そんな感じで考えるようになりました。

    最後に

    あの日のフレンチトースト。

    最初に出てきたのは、どう見ても普通のトーストでした。

    でも、最後にはちゃんとしたフレンチトーストが届いて、店員さんも満面の笑顔。

    今となっては、なんだか微笑ましい思い出です。

    問題が起きたことを怒るより、解決できたことを一緒に喜ぶ。

    そんな考え方も、悪くないのかもしれませんね。

    ということで、今回はこの辺で。

    るるたでした。

    ではでは。

  • フィリピンで怒って、ちょっと恥ずかしかった話。| るるた第一話

    フィリピンで怒って、ちょっと恥ずかしかった話。| るるた第一話

    こんにちは、るるたです。

    フィリピンのマニラから、日々の暮らしのあれこれをお届けしています。

    今回は、フィリピンでの「怒ること」について、ちょっとお話ししてみようと思います。

    セブンイレブンで見かけた、怒っているお客さん

    先日、家の近くのセブンイレブンに買い物に行ったときのことです。

    僕の前にいた若いフィリピン人のお客さんが、女性の店員さんにものすごい勢いで怒っていました。

    英語とタガログ語が混ざっていたのですが、どうやら欲しい商品がなくて、それを店員さんに尋ねたことがきっかけだったようです。

    「なんで客の顔を見てちゃんと話さないんだ!」

    「こっちは客なんだぞ!」

    そんな感じで、店員さんを激しく責めていました。

    そのお客さんが帰ったあと、店員さんは僕に、

    「私、そんなにひどいことをしたのかな……」

    というようなことを、タガログ語で何度も話しかけてきました。

    かなり怯えている様子でした。

    僕もタガログ語をすべて理解できるわけではないので、ただ相づちを打ちながら聞いていました。

    もちろん、フィリピンにも短気な人はいます。

    運転中に怒鳴り合っている人もいますし、街中で喧嘩を見かけることもあります。

    ただ、知らないお店の店員さんに、あそこまで激しく怒鳴る人は、僕の経験では意外と少ない気がします。

    実は、僕も昔やってしまいました

    フィリピンに来て2〜3年くらい経った頃のことです。

    家の洗面所に取り付ける、鏡の扉がついた小さな棚を買いました。

    家で組み立てて、鏡の扉に取っ手を取り付けようとネジを締めていたら、

    ピキッ!

    鏡にヒビが入ってしまったんです。

    「ああ、やっちゃった……」

    でも、そのときの僕は、締めすぎると割れるなんて説明されていなかったし、交換してもらえるんじゃないかと思いました。

    そこで、お店に持っていったんです。

    ところが、対応してくれた女性の店員さんは、

    「交換できません」

    の一点張り。

    マネージャーらしい人が出てきても、答えは同じでした。

    当時の僕には、フィリピンでは強く言えば何とかなることもある、という感覚が少しあったのかもしれません。

    だんだん声が大きくなって、

    「こんなふうになるなんて知らないし、説明しなかったそっちにも責任があるでしょう!」

    と、ギャーギャー怒ってしまいました。

    今思い出しても恥ずかしい話です。

    怒っていた僕を助けてくれた店員さんたち

    すると、周りから店員さんがどんどん集まってきました。

    フィリピンのお店って、お客さんより店員さんのほうが多いんじゃないかと思うことがありますよね(笑)。

    その店員さんたちが、

    「これ、直せるんじゃない?」

    「こっちを使ってみようよ」

    と、接着剤やいろいろな道具を持ってきてくれたんです。

    そして、みんなでワイワイ笑いながら、5分、10分とかけて修理してくれました。

    結果、かなりきれいに直ったんです。

    僕も最後は「ありがとう」と言って帰りました。

    でも、帰り道で思ったんですよね。

    「俺、めちゃくちゃ恥ずかしい人だったな……」

    若い女性の店員さんに怒鳴って、マネージャーにも怒って。

    それなのに、最後はその店員さんたちに助けてもらって帰ってくる。

    なんとも情けない話です。

    フィリピンで暮らして、変わったこと

    あれ以来、店員さんが注文を間違えたり、思った通りに物事が進まなかったりしても、あまり怒らなくなりました。

    そもそも、フィリピンに10年以上暮らしていると、思い通りにいかないことなんて山ほどあります。

    注文したものと違う料理が出てくる。

    言ったことがうまく伝わっていない。

    予定通りに物事が進まない。

    そんなことは日常茶飯事です。

    むしろ最近は、期待通りにいったら、

    「おお、ありがとう!」

    というくらいの感覚になっています(笑)。

    もちろん、仕事では言わなければならないこともあります。

    でも、特に知らない店員さんに対して、感情的になって怒鳴る必要はないんですよね。

    怒るより、笑って過ごしたい

    日本人は、フィリピンではおとなしくて優しいというイメージを持たれていることもあります。

    そんな人が突然ものすごい勢いで怒り始めたら、相手だって怖いでしょう。

    先日のセブンイレブンで怒っていたお客さんを見て、昔の自分を思い出しました。

    「ああ、俺も気をつけよう」

    と。

    フィリピンで暮らしていると、いろいろなことがあります。

    でも、多少思い通りにならなくても、「まあ、そんなもんか」と笑って過ごせたら、そのほうがずっと楽しい気がします。

    第1回からこんな話になってしまいましたが(笑)、今日はこの辺で。

    では、また次回。

    るるたでした。

    ではでは。


    「るるたの部屋」では、フィリピンで暮らす日本人の視点から、日常・仕事・旅行など、身近な出来事をお届けしています。

    このお話はYouTubeでも公開しています。るるたの声で聞きたい方はこちらからどうぞ。